「チェーンメール」のバッドエンド
というわけで「カシマレイコ」シナリオの残り3%は諦めることにして、初心に戻って一番最初の「チェーンメール」シナリオを再プレイしてみることにしました
以下、PSP版「流行り神」のネタバレがあります
新たな登場人物の登場
二日目の電話の返答次第でファミレスで会うことになる人物が変わる模様です
でもって、この登場人物から殺人鬼の誕生の経緯とか廃ビルの奇妙な部屋の存在理由などを聞けるわけですが、まぁそれはそれで川原ミユキと会うルートとは違って謎の解明に繋がってスッキリ。。。とはいかなくて、逆に別の不満点が出てきてしまいました
このシナリオは「さとるくん」と同じく二つのオカルトもしくは事件が重なっている構図になっていると思われるのですが、片方の川原ミユキに関しては希代の殺人狂の生まれ変わりなのか、それとも単に精神異常なのかについては公式には語られていませんし、ゲームの主人公としてもプレイヤー視点から見てもオカルトかそうでないのかについては考察の余地があります
この「オカルトかそうでないかを考察する余地」というところがこのゲームのテーマであり醍醐味だと思います
ですが、もう一つの事件(ないしはオカルト)であるこの林奈緒の関わる「チェーンメール」に関してはどう考えてもオカルトで確定してしまいます
各所でチェーンメールに返信しなかったり捜査を放棄したときに起こる怪異については、チェーンメールのルール違反に対するペナルティと、刑事を名乗ったことによりチェーンメールの主である林奈緒に事件の解決能力があると見込まれて付き纏われたためと解釈することが出来ます
それと同時に、林奈緒の存在=チェーンメールの怪異が確固たるオカルトとして確定してしまうわけです
主人公が体験するチェーンメールを無視、あるいは捜査を放棄したときに起こる怪異については、主人公の思い込みは考えられません
最初にチェーンメールを無視した時点では主人公はチェーンメールの内容については完全に嘘だと認識していますし、連続殺人事件に対してもたいして興味も持っていない状態です
また、メリーさんのような展開になったときも話の流れから相手の話を信用しておらずにからかうような形で物別れに終わっています
このような完全に「チェーンメール」の内容を信じきっていない心理状態であのような幻覚や白昼夢を見るとは思えません
ましてや、相手と話し込んでいたずら電話だと断定して叱り付けたあとの事件の被害者の恨み言を言われるバッドエンドは、あれが現実のものだと仮定しても「事件の被害者が主人公が捜査を放棄した」ということを知っていることはありえないので、オカルト抜きでは語れないということになります
そしてなによりも、その後の展開で林奈緒本人が事件の四ヶ月ほど前にすでに犯人の手によって殺害されているという事実です
いくつか可能性を考慮してみましたが、誰かが林奈緒の殺害を含めた事件の詳細を知っていて、自身は何かしら理由があって表舞台には立てないので「チェーンメール」を使って林奈緒を演じていたという納得のいく理由付けができませんでした
例えば、林奈緒の幼い頃に生き別れた双子の姉妹がいて、その片割れが林奈緒の失踪を知って独自に調べて真相に辿り着いたが、何かしらの事情があって自分が表舞台に出ることは出来ないので「チェーンメール」を使って協力者を募ったとしたら?
廃ビルの証拠満載の犯人のアジトという決定打があるのに、なぜ警察に匿名ででも通報しないで、不確定要素しかない「チェーンメール」に頼る必要が?
いくらあの世界の警察が頼りなくても、証拠の詰まった廃ビルの現場を添えて犯人を名指しすればあれだけ証拠が揃っていればたとえ最初は半信半疑でも捜査を始めていずれは犯人逮捕に繋がるだろうし、通報者本人も表舞台に出る必要はないわけです
別の仮定として、川原ミユキのライバルとかがあくまでも噂で川原ミユキを追い落とそうとして「チェーンメール」を流したとしたら?
これも、確たる証拠があるのにわざわざ噂で信用を失墜させる必要はなく、そのままズバリで通報すれば本人が芸能界から消え去ってくれるので、そんな手間をかける必要はないということになります
つまりは、どう考えても誰かがすでに死亡している林奈緒を名乗って「チェーンメール」という手段を使って協力者を募る理由がないわけです
あと、これは途中で気付いたのですが、この林奈緒を名乗る女性って川原ミユキのルートで廃ビルに案内してくれた謎の女性だったのですね
あのときは何の脈絡もなくいきなり出てきて誰こいつ? 状態でしたが、ようやく納得?
これがもし林奈緒と直接顔を合わせることがなく連絡はメールか電話のみであった場合、林奈緒を名乗る女性との会話の中に林奈緒本人しか知りえない情報が入っていたとしたら?
その場合は単純にオカルトとは断定できずに考察の余地が生まれたと思います
ですが、林奈緒(と名乗る女性)と顔を合わせた時点で、その林奈緒が偽者であると言う納得のいく理由がない限りは「殺害された被害者が犯人を告発した」というオカルトが発生したということになります
プレイヤーへの驚きの提供という意味では幽霊と出会って話したという方がいいのかもしれませんが、それだと初見のインパクトはあっても結局は安っぽいオカルトに成り下がってしまうわけです
考察を売りとするこのゲームの趣旨には合わないと思います
とまぁ、いろいろと書きましたが、林奈緒については「チェーンメール」の怪異も含めてどう考えてもオカルトと断定するしかなく、それがこのシナリオの不満点となってしまっています
短いシナリオなので多少のご都合主義的展開は仕方がないにしても、オカルトは存在すると断定せざるを得ない結末というのはこのゲームにおいては少々興醒めと言わざるを得ません
いいえ、ご都合主義です(笑)
話は変わりますが、「カシマレイコ」シナリオでの一場面です
こちらのシナリオでは安っぽいオカルト科学的展開がほぼ確定事項で、都市伝説としての「カシマレイコ」は事件には関わっていませんでした
詳細は語られていない事件の背景にはあの世界の過去において「カシマレイコ」の都市伝説が発生しており、事件の13年前にとある列車との接触事故が発生しスポーツ新聞の記事で「カシマレイコ」の噂が再燃したということが語られています
ですが、このシナリオにおいてはその都市伝説における「カシマレイコ」は関わっておらず、あくまでも13年前の事故で「カシマレイコ」と言われていじめにあった女性と、「カシマレイコ」の話を聞いた感受性豊かな少年が起こした怪異ということになっています
なので、このシーンの答えとしては「偶然」もしくは「作者のご都合主義」ということになります
無理やり解釈するとして、あくまでも新薬は副作用で情緒不安定になるだけでポルターガイスト的なオカルトを発生させるものではないと仮定して、希樹比佐子が式部人見に対して行った嫌がらせはあくまでも病室の扉を外から開かないようにしていただけだとしたら?
その他の式部人見が体験した怪異については希樹比佐子や福岡篤文少年は関わっておらず、彼女たちとは別の何らかの怪異が発生していたとしたら?
そう仮定したとして、誰が一体何のために式部人見をターゲットにして「カシマレイコ」を想起させる怪異を発生させる必要が?
作中では過去に存在していたとされる「カシマレイコ」については一切語られていませんが、それがオカルト事象であるか否かは別として、それが縁も縁もない式部人見の下にピンポイントでタイミングよく発生する理由がありません
万が一に何らかの偶然で「カシマレイコ」の怪異が発生したとして、そもそも式部人見が聞いた「カシマレイコ」の話はあくまでも夢の中での怪異なので、起きているときに発生するというのも奇妙な話ですし
とまぁ、この「チェーンメール」と「カシマレイコ」のシナリオについてはどちらもオカルト的な事象を肯定しないと成り立たないということが不満なわけです
「カシマレイコ」シナリオに関しては超能力者を科学的に誕生させるというオカルト科学ですが
同じオカルト科学でも「名前の無い駅」の場合はそれが「旧日本軍のなんかよくわからないけどすんごい科学力で人為的にポルターガイスト現象を発生させる技術」なのか、「何かすんごい技術で本当に霊体を操っていた」のかが不明で、そこにオカルトか否かの考察の余地が残されているわけです
かなり微妙ですが、作品のテーマを考えるとこの「オカルトか否かの考察の余地」というのは重要なことだと思います
なので、この二つのシナリオはわたしの中ではかなり評価が低くなってしまいました
というわけで、既読率は91%に
さっさと100%かそれに近いくらいにして次のシナリオに進もう
とまぁ、とりあえず本日はこんな感じです
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