2016年06月28日

バッドなのにハッピーエンド?

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キマシタワー!!!(大間違い)




以下、PSP版「流行り神」のネタバレがあります



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旧校舎を徘徊する乱れ髪の女生徒の霊?

数十年前の悲劇
教師と女生徒との許されざる恋
投身自殺した女生徒
その女生徒の霊が今も校舎を彷徨っているという噂
深夜の校内探索

。。。あれ、何かデジャヴ?(笑)



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勇気を出したら負け?

それはともかく、他のシナリオに比べてバッドエンドの多いシナリオでした
一つの選択を誤るとその後はどうあがいても絶望バッドエンドにしかならなかったりとか
上記の選択はカリッジポイントを消費する上と下の選択肢を選ぶと漏れなくDクラスのバッドエンド行きが決定します
なんてこったい!



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あまりこの婆を怒らせない方がいい

ここの選択肢でこのお婆さんを怒らせるとSランクのハッピーエンド(?)には到達できない模様
でも、ここでこのお婆さんを怒らせた結果に辿り着くDランクのバッドエンド(?)の中にはSランクのハッピーエンドよりもハッピーな結末もあったりとか
あと、ストレートにSランクエンドを迎えたときにはわからなかった様々な情報や登場キャラたちの心境が垣間見れたりとかも



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天狗様の伝承

ストーリーとしては某金田一少年の事件簿っぽい内容かな
作中では詳しく語られていない事件の遠因となった村の因習などを考察するとなかなかに興味深いです
この天狗様の伝承は民俗学的に考えると、雪深い地域にある寒村が生き延びるために生み出された社会装置であると考察することが出来ます
小さな村が生き残るには村全体で一致団結する必要があり、また村のしきたりに従わないような異分子は排除する必要が出てきます
そこで考え出されたのが天狗という架空の存在を使った「神隠し」というわけです
村の規律を乱す者や犯罪者などを人知れず始末して、対外的には”天狗様の怒りに触れたから「神隠し」に遭った”ということにする
そしてそういった村の暗部を仕切る家系として多々良家が表の顔として村のリーダー的存在となり村を纏めていたと
そうやって天狗様を祭る多々良家という存在が生み出されたと考えられるわけです

時は流れて、40年前の駆け落ち事件を機に、それまで天狗様という迷信で村を支配していた多々良家を羽黒家が天狗様という迷信を打ち破って多々良家を没落させて変わりに村の実権を握るようになった
折りしも時代的には60年代後半に人類が有人での月着陸を成し遂げ、続く70年代初めには日本で文化の祭典である万博が開催されて文明や科学といった光がそれまでの迷信を打ち消していくといった全国的な社会現象が羽黒家の計略を後押ししたものと考えられる
40年前の「神隠し」事件は単に村の権力争いという面だけではなく、それまでの迷信による支配から村が解き放たれたという側面も併せ持つ事件だったと考察できるわけである



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天狗様の怒り

。。。という風にオカルト抜きで考えられればいいのですが、シナリオ中ではオカルト抜きでは説明できないような怪異の数々が(主にバッドエンドで)間宮ゆうかを襲います
その怪異のうちの一つの天狗様ですが、天狗様が現れた理由はおそらくは犯人が天狗様の名を隠れ蓑に「神隠し」を装って殺人を犯そうとしたことに対して厳罰を持って罪を購わせようとしたと考えられます
殺人事件の起こらなかったハッピーなバッドエンド(?)でも犯人は天狗様の罰を受けていることからも上記の考察は妥当かと思われます
作中の婆さまとの会話で羽黒家も多々良家もどちらも天狗様の怒りを買っているとの発言があることから、犯人は多々良家の血を引きながらも天狗様の加護は受けていなかったことがわかりますし



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婆さま激おこ

この発言や序盤のバス停での会話やとあるバッドエンドでの登場シーンでの描写から、あくまでも犯人の単独犯(共犯はいましたが)であり、婆さま及び多々良家は今回の事件そのものにはノータッチであったと考えられます
もし息子の計画を知っていれば天狗様の怒りを恐れて計画そのものを止めるように犯人を諌めるでしょうし



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某バッドエンドでの会話

吹雪の中学校に立ち寄ったのは天狗様の怒りを買っている羽黒家の娘である羽黒薫の様子を見に来ただけであり、本来の目的は「探し物」とのこと
犯人はこの婆さまの息子であり、その犯人は40年前の「神隠し」事件の被害者の女生徒の弟ということから、自動的にその「神隠し」に遭った女生徒はこの婆さまの娘ということになります
以上を踏まえて考察すると、婆さまの「探し物」とは40年前に「神隠し」に遭った。。。いや、行方不明になった娘を捜していると考えられます
天狗様を奉る多々良家当主として40年前の事件が天狗様による「神隠し」ではないと知っているのと、おそらくは天狗の祠にあった恋文の存在も知っていて40年前の事件の真相も知っていたと思われます
年に一度の大吹雪の日に捜しているのは、おそらくはこの日に事件が起こったからでしょう

そこで少し考えてみたのですが、作中に登場するもう一つの怪異の「ホルマリン漬けの女生徒」についてです
40年前の事件で「失踪した科学教師と女生徒」というキーワードから、「ホルマリン漬けの女生徒」の正体が「神隠し」に遭った女生徒の多々良イサミだと思われがちですが、果たしてそれが真実なのでしょうか?

まず一つ目として、婆さまが助けに来たときの婆さまの言動です
このときは学校の裏手にある天狗の祠に「探し物」をしに行く途中で気になっていた羽黒家の娘の様子を見に来ただけの通りすがりで、たまたま「悪霊」に襲われていた間宮ゆうかを助けたものと思われます
このときに婆さまは「ホルマリン漬けの女生徒」を「悪霊」と決め付けて追い払っています
ここで考えてみてください
もし、「ホルマリン漬けの女生徒」の噂が40年前の「神隠し」事件と関わりがあると仮定した場合、没落したとはいえ村の有力者だった多々良家の当主がその噂を知らないわけがありません
「探し物」に関してもその可能性を念頭において捜すでしょう
そこで悪霊化しているとはいえ、40年間探し続けていた自分の娘に気付かないということが考えられるでしょうか?
しかし、婆さまは校舎はあくまでも天狗の祠への通り道兼寄り道で、「ホルマリン漬けの女生徒」の正体を一切考慮せずに間宮ゆうかを襲っていた「ホルマリン漬けの女生徒」を「悪霊」と断じて撃退しました
つまりは、「ホルマリン漬けの女生徒」の噂と40年前の「神隠し」との関連性は村では語られていなかった可能性が高いというわけです
また、「ホルマリン漬けの女生徒」と40年前の「神隠し」事件を関連付けたのは佐倉智子で、事情通の下橋ミキも佐倉智子が40年前の新聞の切抜きを持ち出すまでは両者の関わりはあまり考えていなかったと思われます

根拠の二つ目として、第二科学室の謎が挙げられます
封鎖されていた第二科学室とは別に、40年前の「神隠し」事件で失踪した科学教師の使っていた改築前の第二科学室が音楽室の裏に隠されていました
ここで疑問なのですが、40年前の事件に関わりのある旧第二科学室を隠すのは理解できますが、改築後の新しい第二科学室を封鎖する理由が見当たりません
校舎が半壊して改築したときに旧第二科学室の存在を抹消できているわけなので、改めて新しく改築した校舎の第二科学室を板を打ち付けてこれ見よがしに封鎖する意味は?
実害のないただのくだらない噂話程度で教室を一つ潰すとは考えられないですし、ここは過去に新しい第二科学室関連で何らかの事件や事故があったと考える方が妥当だと思います
つまりは、公にはなっていないけれども、新しい第二科学室で何らかの事件か事故が起こり、それが原因で新しい第二科学室は封鎖された可能性があると考えられるわけです
そしておそらくは「ホルマリン漬けの女生徒」の噂もその事件か事故が起因しているのではないかというわけです
以上の理由により、個人的な結論として天狗様と「ホルマリン漬けの女生徒」はまったく別の怪異であると断定する次第です


せっかくなので、婆さま以外の登場人物についても少し考察とか

まずは事件の被害者(?)の羽黒薫について
羽黒薫は父親の過去については知らされておらず、それでも村人の態度などから薄々何かを感じ取っていたところに佐倉智子からの提案を受けて40年前の真実を知るために探索に参加した
そう考えれば親友の先輩という微妙な距離感のある佐倉智子の提案に乗った理由も納得できます
そして、隠されていた旧第二科学室で父親の写真と日記を見て真実を知り、半ば予想していたとはいえ衝撃の事実に精神の許容量を超えたために気絶したと考えられます

佐倉智子について
とあるハッピーなバッドエンドを根拠にした考察という名の妄想ですが、主犯である小杉先生から都合のいい話を聞かされて共犯の関係にいたが、間宮ゆうかたちとの探索で40年前の真実を知り小杉先生の都合のいい嘘に気付いて、さらには40年前の二人の許されぬ愛に自らの姿を重ねて計画に対して迷いが出てきていたと思われる
反省の色があったので天狗様の情けで「神隠し」は免れた?
あくまでも推測ですが、もしかしたら天狗の祠に向かった小杉先生を止めようとしていたのかもしれませんね

下橋ミキについて
その存在が犯人の計画を狂わせたというシナリオ的には重要な立ち位置を持つただの一般人
あと、いろいろな情報の提供役
と見せかけて事件の裏で暗躍するフィクサー。。。のわけはないか(笑)
見た目のインパクトはあるけど、常識を備えたいい人

小杉先生
犯人にしてロリコン
実の母親である婆さまの恨み言を曲解して自分の姉を死に至らしめた科学教師に恨みを募らせたまま育ったというところか
とりあえず40代以上の年齢で教え子の18歳の小娘に手を出す人間のクズということは確定的に明らか(笑)


事件の構図としてはオカルト込みで言うなら、小杉先生が40年前の恨みから姉の命を奪った男の娘である羽黒薫の殺害を計画し、恋人の関係にあった教え子の佐倉智子を使い計画を実行に移す
探索行に急遽加わった下橋ミキの存在により計画に狂いが生じ、それでも計画を修正しながら実行に移そうとする犯人たち
しかし、「神隠し」を殺人の隠れ蓑に使おうとする小杉先生に対して村を守護する天狗様が激怒して厳罰を与えようとする
それとは別に学校に伝わる怪談のひとつの「ホルマリン漬けの女生徒」が動き出す
かくして羽黒薫は殺害されて、殺害を計画した小杉先生は天狗様の罰を受けて「神隠し」に
共犯の佐倉智子は改心の余地があったので情状を酌量されて「神隠し」は免れたと
こんなところでしょうか

でもって、ここで最後に一つ疑問が
Sランクエンドの場合の羽黒薫を撲殺した犯人の存在です
最後の推理ロジックで「可」判定の場合に本編主人公の推理が見られますが、そこでも語られている通り「神隠し」に見せかけようとしていた小杉先生には羽黒薫を撲殺するデメリットはあれどメリットは存在しないわけです
共犯の佐倉智子はハッピーなバッドエンドで語られる通り途中からこの計画自体には乗り気ではなかったはずなので、彼女が自ら手を下すとは考えにくい
羽黒の一族の者として天狗様の怒りを買ったとして、天狗様が行うのは「神隠し」であり、撲殺した遺体を残すのはどう考えてもおかしい
「ホルマリン漬けの女生徒」の場合は体内に取り込むので、そもそも撲殺した遺体が残るというのは考えられない
下橋ミキは動機がない
では、羽黒薫を撲殺したのはいったい誰?
可能性としては羽黒薫に気付かれて小杉先生が撲殺といったところかな?



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そしてこの男

ただのグラフィックの使いまわしなのか、それとも。。。



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というわけで、既読率は99%

バッドエンドがオカルト絡みが大半なのがちょっとアレですが、シナリオ的には40年前の事件や村の歴史とかを考察して楽しめる良シナリオだと思います
ただ、考察としては天狗様が存在するという仮定が前提になってしまいますが
いかにも怪しい言動の先輩だけど事件を起こす動機が思いつかない、でも実は。。。という展開が推理モノとしても面白かったです
バッドエンドを調べて既読率100%を目指すのも苦にならない程度には楽しめました
あとは第一話の「コックリさん」の再プレイだけか
なんだか名残惜しいような気がします



とまぁ、唐揚げが美味しかった本日はこんな感じです
タグ:PS Vita TV
posted by hirose at 23:50| Comment(0) | ゲームとか
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